だんだんと感じていくもの
子どもたちは、初めて経験する様々な出来事を、少しずつ自分の生活に組み込もうと頑張っています。社会進出の第一歩となる保育園集団。はじめは、どうしてここにいるのかもわからず、ただただお母さんを探して泣いていた子も、抱っこされるとなんだか安心する先生の存在に気付きます。楽しそうなおもちゃや絵本があることに気持ちが動くのはそれから。おいしいご飯もおやつもあるし、自分がここにいても大丈夫だと確信するのです。そして必ずお家の人が迎えに来てくれる。頑張ったねって抱きしめてくれるから、またここに来ても大丈夫だと思えるのです。
繰り返される経験の中で子どもは自分の存在の大切さをだんだんと感じていくもの。まだ幼いからわからないのではなく、未熟だからこそ、見るもの、聞こえるもの、触れるもの、その全てが自分にとってどうなのかを全身で感じているのだと思うのです。
みなさんは『ママのスマホになりたい』という絵本をご存じですか? 子どもの作文から書かれたお話です。先日の研修で話題になったのですが、改めてモバイル機器のパワーを感じました。大人が無意識に触っているスマホ。誰も子どもを無視しているつもりでないのが落とし穴です。一生懸命話しかけている子どもにとっては、視線の先のスマホのほうが自分より大事なんだと感じてしまうのも、ごく当たり前のことだと思いますよね。
今しか聞けない、今の子どもの声を、目と心で聴いてあげたいですね。
園 長